阿部寛さん主演映画「海よりもまだ深く」
「万引き家族」のヒットで知られる是枝裕和監督の作品。
売れない小説家と離婚した妻子、団地で暮らす年老いた母の暮らしぶりを描いています。
ロケ地となった団地は是枝監督が育った清瀬市の団地です。
ゆったりとした時間が流れるストーリー。
映画「海よりもまだ深く」のあらすじネタバレ、ロケ地についてご紹介します。
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海よりもまだ深くあらすじ
文学賞を受賞したこともある売れない小説家、篠田良多。
小説の素材集めと称し、興信所で探偵の仕事をしている。
ただでさえ稼ぎが悪いのに、大のギャンブル好き。
愛想を尽かして離婚した妻、響子と息子の真吾とは月に一度会っている。
金目のものを目当てに母、淑子が住む団地へ足を運ぶ良多。
雪舟の掛け軸があったことを記憶しており、部屋中を探していた。
金はないのに、見栄を張って淑子に小遣いを渡す。
馴染みの質屋へ行くと、掛け軸は亡き父がすでに持ってきていたとわかる。
しかも印刷で偽物だった。
相棒の町田とともに浮気調査をして、高額の報酬を手にする。
それを倍にすると言って良多は競輪につぎこんでしまった。
そして惨敗。
小説はさっぱり進まないままだった。
編集者の三好から漫画の原作をやらないか、と打診を受ける。
だが純文学作家のプライドもあり、良多は即答できなかった。
町田とともに、響子の恋人の福住について調べていた。
良多と違い、稼ぎの良い男だった。
すでに父親気取りで真吾の野球の応援に来ている。
良多は響子と再婚するのか、気になって仕方なかった。
姉の千奈津のところへ金を借りに行く良多。
自分たちのことを小説のネタにするな、と釘をさされる。
さらにこうして金を借りに来るのは、父と同じだと言われてしまった。
良多は高校生の弱みを握り、揺すって小銭稼ぎしていた。
それを興信所の所長、山辺に知られてしまった。
良多は真吾のプレゼントを買うため、金を集めるのに必死だった。
そして月に一度の真吾と会う日。
支払いが滞っている養育費を請求する響子。
良多はまた先延ばしにする。
真吾に野球用のスパイクを買ってやる。
その足で淑子のところへ行こうと決める。
淑子のところには、千奈津が家族を連れて来ていた。
良多が壊した窓ガラスを義弟の正隆が直してくれる。
千奈津たちが帰る頃、響子が真吾を迎えに来る。
ちょうど台風が来ており、淑子は泊まっていけという。
淑子が寂しがっているのもあり、良多と響子と真吾で一泊することに。
真吾は良多と宝くじを買ったと話す。
当たったらまた家族3人で暮らし、おばあちゃんも一緒に暮らそうと淑子に言う。
真吾が風呂に入っている間、響子に福住のことについて聞き出す。
しかし良多がすでに福住のことを調べていたことがバレ、響子に呆れられてしまう。
家族が寝静まった後、良多は金になるものはないか探し回った。
へそくりと見せかけ、千奈津が小細工をしているものを見つける。
しかし価値がありそうな硯を見つけ、良多は持ち出した。
真吾が目を覚まし、団地の公園に行くと言い出した。
良多とともに雨の中、外へ出た。
良多と真吾は滑り台の下へ入り、お菓子を食べながら語り合う。
心配して見に来た響子も混ざり、久しぶりに3人で過ごす。
翌日、雨が上がり良多たちは帰っていく。
良多は硯を質屋に持っていくと、良い物だといわれ気分が良くなる。
父が良多の小説を持っていき、「あとで価値がでる」といって置いていったと聞かされる。
良多はサインを頼まれる。
別れ際響子にまた養育費を急かされる良多。
なんとかすると返事するだけだった。
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海よりもまだ深くの感想
家族を描いた作品です。
ストーリーはとくに盛り上がるところもないので、見終わると「あれ?」と思ってしまいましたね。
是枝監督の育った清瀬市の団地がメインで描かれています。
是枝監督は団地でひとり暮らししていた母を放っておいてしまって、とても後悔していると話していました。
それを踏まえたストーリーになっている映画ですよね。
良い暮らしはしていないけど、良多は母親のもとを時々訪れている。
養育費もロクに払えないのに、母や息子には見栄を張ってお金を使う。
小説家なだけあってプライドが高い良多。
響子はもう良多にはさっぱり未練はなく、真吾のために良多に付き合ってやってる感じ。
良多と響子、良多と千奈津の間には母の存在が良いアクセントに。
樹木希林さん演じる淑子は、質素な暮らしの老女がリアルに出てますね。
カルピスを凍らせてシャーベット代わりに食べるところとか(笑)
ゴミが出てくる狭い風呂とか、なかなかスゴイ演出です。
橋爪功さんが演じた仁井田は、同じ団地で分譲のほうに住んでいます。
賃貸より富裕層が住んでいるという描写ですよね。
部屋の中も良い暮らしぶりだったし。
ストーリーは確かに面白味はないんですが、何気ない日常が上手く描かれていて良作という評価もうなずけます。
ロケ地は?
淑子が住む団地は清瀬市の旭が丘団地。
良多がケーキを買っていた店「ホルン」も当時は実在していました。
現在は閉店しています。
このあたりはシャッター街になってしまってるんですよね。
タコの滑り台はこの団地の付近ではありません。

あのタコ滑り台は同じ清瀬市の野塩団地の中にありました。
2015年に団地建て替えとともに、タコは取り壊されてしまいました(T_T)
是枝監督が昔ながらの団地らしい景色として選んだ場所です。
古いからこそ取り壊す対象になってしまうんですよね。
千奈津が働いていた和菓子屋「新杵」

こちらも2019年に閉店になりました。
今、清瀬市はすごい勢いで開発されており古い建物や店がどんどん減っています。
この映画は地元の人にとって懐かしい風景が残されているのです。
キャスト
篠田良多:阿部寛
白石響子(良多の元妻):真木よう子
中島千奈津(良多の姉):小林聡美
山辺康一郎:リリー・フランキー
町田健斗:池松壮亮
白石真悟(良多の息子):吉澤太陽
愛美(まなみ):中村ゆり
福住:小澤征悦
三好(編集社の社員):古舘寛治
夏実(良多の幼なじみ):峯村リエ
安藤(尾行される依頼人):黒田大輔
安藤未来(みく:安藤の妻):松岡依都美
真田(高校生):葉山奨之
二村(質屋):ミッキー・カーチス
二村の妻:松本じゅん
長岡(団地の住民):立石涼子
森(団地の住民):東山明美
市村(団地の住民):今本洋子
手代木(団地の住民):池田道枝
野口(依頼人):福井裕子
正隆(千奈津の夫):高橋和也
彩珠(千奈津の子):蒔田彩珠
みのり(千奈津の子):一栁みのり
仁井田(団地の住民):橋爪功
篠田淑子(良多の母):樹木希林
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